インバーターとは
家電製品をポータブルバッテリーで使用する際、重要となるのがインバーターという装置です。このインバーターがないと、家庭用の電気製品をポータブルバッテリーで稼働させることができません。
では、なぜ家電を使うためにインバーターが必要となるのでしょうか。
まず、私たちが普段から使用している電気には直流(DC)と交流(AC)の2種類があります。このうち、前者は乾電池やバッテリーの電気等が該当しますが、多くの方にとって馴染み深いのは後者の方です。なぜなら、各電力会社から送られ、それぞれの家庭がコンセントを通じて使用している電力は交流だからです。
しかし、このことがポータブルバッテリーを使用する際に問題となります。家庭用の電気製品はコンセントから給電、稼働するように作られていますから、直流電源であるポータブルバッテリーでは使用することができません。
そこで必要となるのがインバーターです。インバーターは直流から交流の電気へと変換する装置ですから、これを内蔵しているポータブルバッテリーであれば、その電力を使って家電を動かすことができるようになるのです。このため、現在では多くのポータブルバッテリーにインバーターが搭載されています。
ただし、インバーターにもいくつかの種類があります。「矩形波」と「擬似正弦波」、そして「正弦波」の3つです。
この3つは、インバーターから出力される電気の波形に基づいて分類されています。まず矩形波については、波形が長方形に近い形となるのが特徴です。また擬似正弦波は、矩形波より滑らかな波形となるものの、やはり完全な曲線とはなりません。
一方、正弦波の波形は正弦関数に基づいた曲線を描きます。そして、家庭に送られる電力の波形もこの正弦波です。そのため、矩形波や擬似正弦波のインバーターでは稼働できる家電製品に限りがあるほか、動かすことのできる製品でも、ノイズや異音が生じるなどの不具合が発生するというリスクが生じます。
矩形波や擬似正弦波のインバーターはコストを抑えることができるという強みもあります。しかし、使用できる製品は制限されてしまいますから、機能性の面では正弦波のインバーターを採用したポータブルバッテリーを購入した方が良いと言えるでしょう。
ポータブル電源のACとは
ポータブルバッテリーの商品ページでは、「AC電源」や「DC電源」といった言葉がたびたび出てきます。専門的な言葉であるだけに、その意味をしっかりと理解できていない方も多いとは思いますが、実はポータブルバッテリーを購入、使用するにあたって知っておくべき用語のひとつです。
AC電源とは、「交流電源」を意味する言葉です。ACは「Alternating Current」の略であり、交流を意味しています。これに対し、DC電源は「直流電源」という意味です。それぞれが異なる性質を持っており、向き不向きにも違いがあります。
AC電源を使用している身近な例として、家庭用のコンセントがあります。ご存じない方も多いかもしれませんが、各電力会社の発電所から供給される電力はAC電源です。
この理由は、AC電源の特徴にあります。ACの方が電気を送る際のロスが少ないため、効率良く各家庭に電気を供給することができるのです。
その一方で、一般的な家電製品の多くはDC電源を採用しています。では、なぜ家庭用のコンセントで使用できるのでしょうか。
実は、多くの家庭用の電気製品にはAC電源からDC電源への変換機能が内蔵されています。交流電源を直流電源へと変換することで、家庭用のコンセントでも使用できるようになっているのです。
またACアダプターを接続することで、コンセントからも給電できるように設計されている機器もあります。その代表的な例はノートパソコンですが、ポータブルバッテリーもこちらのタイプが多いのが現状です。
ただし、ポータブルバッテリーにはAC出力に対応していないものもあります。こうした機器を使用したいと考えている方は、AC出力に対応したポータブルバッテリーを購入するようにしましょう。
ポータブル電源のDCとは
ポータブルバッテリーを使う場合、覚えておかなくてはならないのが「DC電源」と「AC電源」についてです。特にDC電源については、ポータブルバッテリー自体や車のバッテリーなどにも採用されているため、その特性を理解しておくことが大切です。
DCとは、直流を表す「Direct Current」の略です。よって、DC電源とは「直流電源」を意味しています。
DC電源の代表的な例としては、乾電池やバッテリーなどがあります。上記のポータブルバッテリーや車のバッテリーはもちろん、スマホやパソコンについても、そのバッテリーはDC電源を採用しているのです。
また、家庭で使用される電気製品についても、その多くがDC電源となっています。ただ、家庭やオフィスなどに供給されている電力はAC電源です。そこで、こうした家電にはACからDCへの変換機能があらかじめ採用されており、コンセントから給電、稼働することができるように設計されています。
電力会社から供給される電力がAC電源となっているのは、効率良く電気を送ることができるためです。しかし、DC電源にも長所はあります。それは、無効電力の問題がないという点です。
AC電源の場合、理論上の電力と実際に利用できる電力には差が生じます。つまり、利用できない電力(無効電力)が発生してしまうのです。
これに対し、DC電源は無効電力が発生しません。よって、電力を無駄なく利用できるほか、消費する電力を把握しやすいというメリットもあるのです。
これはポータブルバッテリーについても同様です。その機器が何時間程度使用可能なのか、容易に計算することができますから、車中泊やキャンプ、防災時の対応などの計画も立てやすくなるでしょう。
ポータブル電源のアンペア数(A)とは
ポータブル電源のボルト数(V)とは
ポータブル電源のミリアンペア時(mAh)とは
ポータブルバッテリーを選ぶ際、注目すべき要素のひとつに「容量」があります。
大容量のバッテリーほど、家電製品をより長い時間使うことができるからです。
この容量を表す単位として、「mAh」があります。
こちらは、スマートフォンのバッテリー容量として記載されている場合も多いため、目にしたことのある方も多いでしょう。
ただ、その具体的な意味については知らないという方もいるはずです。
では、「mAh」とはどのようなものを示す単位なのでしょうか。
mAh(ミリアンペアアワー)は放電容量を意味する単位です。
mA(ミリアンペア)は電流、hは時間ですから、mAhは、電流(mA)×時間(h)という式で計算することができます。
この式を応用することで、電気製品の使用可能な時間も知ることができます。
500mAhの電池やバッテリーの場合、500mAの機器を1時間使用できるということを示していますし、250mAの機器であれば2時間ほど使用可能ということとなります。
なお、バッテリーの容量を示す単位としては「Wh(ワットアワー)」もあります。こちらは消費電力を表すWと時間(h)をかけたものです。
「Wh」はポータブルバッテリーの容量として記載されていることが多いようです。そのため、mAhだけしか記載されていない製品では、性能を比較しにくいと感じることもあるでしょう。
しかし、mAhとV(電圧)を使ってWhを計算することも可能です。式は以下のようになります。
Wh=mAh÷1000×V(電圧)
この際、mAhを1000で割っているのは、Ahへと変換しなくてはならないからです。こちらを先に変換しておけば、WhはAh×Vという式でも計算できます。
また、WhをmAhへと変換することも可能です。上記の式を変形させると“mAh=Wh÷V×1000”となります。よって、状況や目的に応じて適宜使い分けると、性能の比較もしやすくなるでしょう。
ポータブル電源のワット数(W)とは
現代の生活において欠かせないのが家電製品です。
それだけに、家電に囲まれて生きる現代人として理解しておかなければならないのが、W(ワット)という単位です。
電力を語るうえで避けて通れないもののひとつですから、知っているという方も、実はよくわからないという方も、ここで今一度おさらいしておきましょう。
W(ワット)とは電力の大きさを表す単位であり、電気製品に記載されている場合はその機器の消費電力を示しています。
つまり、100Wと表示されている機器であれば消費する電力も100Wです。
一方、電力を表す単位としてVA(ボルトアンペア)もあります。VAは、文字通りV(ボルト)とA(アンペア)をかけたものです。
A=W÷Vという式があることから、W(ワット)とVA(ボルトアンペア)についてはイコールになると考えることもできます。これを変形するとW=VAとなるからです。しかし実際は、これらの数値には差が生じる場合がほとんどです。
これは、各家庭に送られている電力が交流電源(AC電源)であることに起因しています。というのも、交流電源の場合は使うことのできない電力(無効電力)が生じてしまうからです。
このことから、Wは有効電力、VAは皮相電力と呼ばれます。
皮相電力は、無効電力を含む見かけ上の電力すべてを表すのに対し、有効電力は実際に消費されるもののみを示しています。
このため、皮相電力と有効電力の間には差が生じてしまうのです。よって、その製品の消費電力を知りたい場合は、Wを確認するようにしましょう。
ただし、W=VAという式が成立することもあります。それは直流電源を使用している場合です。
乾電池に代表される直流電源には、無効電力が発生しないという特徴があります。
そのため、ワットとボルトアンペアの値は等しくなるのです。
家庭で使用される電力が交流電源であるだけに、現在では印象が薄くなっている直流電源ですが、実はこうした長所もあります。
電気製品の消費電力を理解することで、おおよその電気代についても知ることができます。
「消費電力×使用時間×日数×1kwhあたりの料金」です。
興味のある方は一度計算してみてはいかがでしょうか。
ポータブル電源のワット時(Wh)とは
ポータブルバッテリーについて調べていると、「Wh」という言葉を頻繁に目にすると思います。
Wという文字が入っていることから、何となく電力関係の数値であることは分かるはずですが、具体的にどのような意味なのかを知らないという方も多いでしょう。
Whは電力の量を指す単位です。Wはワット、hは時間を意味するHourですから、読み方はワットアワーとなります。
Whは、電気代の請求書にも記載されている単位です。しかしこの場合、Whは消費された電力の量を表しています。
これに対し、ポータブルバッテリーに記載されているWhは、蓄えることのできる電力量を意味しています。
そのため、この数値が大きいほど大容量のバッテリーと言うことができるのです。
Whは消費電力×時間という計算式で求めることができます。
例えば消費電力が100Wの電気製品の場合、1時間の使用なら100(W)×1(h)=100Whとなりますし、2時間であれば100(W)×2(h)=200Whです。
また、分単位での計算も可能です。
ただし、計算式は消費電力×時間(分)÷60となります。
よって、100Wの製品を30分使用する場合なら100(W)×30(分)÷60=50Wh、15分の使用なら、100(W)×15(分)÷60=25Whとなります。
さらに、ポータブルバッテリーの容量と使いたい電気製品の消費電力さえ把握しておけば、その機器を何時間ほど使用できるのかを知ることも可能です。
300Wのポータブルバッテリーで100Wの家電を使用する場合、使用可能な時間は3時間となりますし、同じバッテリーで50Wの家電を使う場合なら、6時間は使用できる計算となります。
ただし変換効率の問題があることから、実際の使用時間はこの数字通りとはいきません。
しかし、おおよそとはいえ、家電製品の使用時間を把握することができますから、車中泊で電気毛布を使いたいなど、明確な使い道がある方はあらかじめ計算しておくと良いでしょう。
ポータブル電源の正弦波とは
ポータブルバッテリーの購入を検討している方なら、正弦波という言葉を目にすることも多いのではないでしょうか。
ショッピングサイトの製品説明に記載されていることも多いですし、ポータブルバッテリーの選び方を紹介しているサイトでも、正弦波のものを選ぶべきといった意見がしばしば掲載されています。
ただ、なぜ正弦波のバッテリーを購入すべきと言われているのか、そもそも正弦波とは何なのかなど、疑問に思う方も多いはずです。
正弦波とは、正弦関数(sin)に基づいて描かれる曲線のことであり、サイン波とも呼ばれています。
では、なぜ電気製品にこの言葉が使われているかといえば、家庭で使用されているAC電源がこの正弦波の波形を持っているためです。
しかし、ポータブルバッテリーはDC電源です。よって、家庭用の電気製品を使用できるようにするため、DC電源からAC電源へと変換するインバーターが必要となります。
そこで重要となるのが、出力可能な電力の波形なのです。
インバーターには、出力できる波形ごとに3つの種類があります。
それが、「正弦波」、「擬似正弦波」、「短形波」です。
このうち、短形波と擬似正弦波は値段こそ安いものの、波形が通常のAC電源と異なっています。
そのため、これらの波形のインバーターでは、使用できる製品と使用できない製品とが出てきます。
これに対し、正弦波のインバーターなら家庭用の電源と同じ波形を持っていますから、多くの電気製品が使用可能となります。
これが、正弦波に対応したポータブルバッテリーを購入すべきと言われる理由です。
ただし、正弦波のインバーターを採用した製品は高額になる傾向にあります。
とはいえ、せっかくポータブルバッテリーを購入したにもかかわらず、使いたい家電が使用できないのなら意味がありません。
よほど明確な用途やこだわりがない限り、正弦波に対応した製品を購入しておいた方が無難と言えるでしょう。