加水分解しないテントを探す

お盆休みに戸隠でキャンプをしようと計画をしています。

そこでテントをチェックしていたら、フライシートに加水分解の兆候が。かなりショック。

ほのかな臭いと手にベタベタする感じ。

購入してから6年くらい経っています。素材的に寿命なのかな。

20年くらい使っているDANA DESIGNのザックも7年くらいで加水分解しましたね。お風呂場で重曹に浸けてコーティングを剥がしました。ザックの中に防水のパックライナーを入れてコーティングのかわりに。

しかし、テントのフライシートの場合はそうもいきませんね。大きなタープでテントを覆ってしまえば同じことかな。

加水分解を修復する方法を調べてみると、みなさん加水分解対策してますね。シリコンスプレーしたり、クリーニングに出したり。

しかし、いろんな疑問がわいてきます。

なんで加水分解する素材やコーティング剤を使うんでしょうか?

加水分解しないテントやタープを作っているブランドはないのか?

どんな素材なら加水分解しないのか?

加水分解したテントは復活するのか?

復活するならどんな修理方法があるのか?

収納方法で加水分解を防止・予防することはできるのか?

とにかく、10万円近いお金を出して、5年くらいしか保たないというのはがっかり。

安いテントをまめに買い替えていくほうがいいのかな。

ちょっとずつ調べていき、大切なテントを復活させたいです。

調べたことを追記していきます。

テントの加水分解とは何が起こっているのか

加水分解しているフライシート
加水分解しているフライシート

テントの加水分解がなぜ起きるのか、なにが起こっているのか、を調べてみました。ついでに石井スポーツに行ったので店員さんにも話を聞きました。

テントの加水分解を簡単に言うと、「テントに防水性を持たせるためのポリウレタンコーティングが劣化していく現象」です。

ポリウレタンコーティングの劣化自体は、湿気や水、特に水道水に触れることに起こります。ポリウレタンは塩素に弱いので、キャンプ後に水道水で洗う行為は良くないようです。

また、一度始まった加水分解は進行を止めることが出来ません。

ポリウレタンコーティングで防水性・撥水性を持たせているテントは、どんなに管理をしっかりしてもいつかは加水分解が起きてしまう。

テントの加水分解を少しでも遅らせる方法

テントの防水性・撥水性を高めるために使われるポリウレタンコーティングは、水・湿気に弱い。

ポリウレタンというのは、ニ種類の化学物質を結合させ反応させることで生まれた化合物の総称。製造時に結合させた部分が、湿気・熱・紫外線などの影響を受け時間と共に少しずつ分解されていく弱点を持っている。

[st-marumozi-big fontawesome=”fa-exclamation-circle” bgcolor=”#ffebee” color=”#ef5350″ radius=”30″ margin=”0 10px 10px 0″]キャンプで使い終わったら、すみやかに乾燥させる[/st-marumozi-big]

[st-marumozi-big fontawesome=”fa-exclamation-circle” bgcolor=”#ffebee” color=”#ef5350″ radius=”30″ margin=”0 10px 10px 0″]乾燥後は、冷暗所に乾燥剤をセットして保管[/st-marumozi-big]

[st-marumozi-big fontawesome=”fa-exclamation-circle” bgcolor=”#ffebee” color=”#ef5350″ radius=”30″ margin=”0 10px 10px 0″]なるべく、高温にならないところに保管[/st-marumozi-big]

加水分解自体は経年劣化ではない。加水分解さえさせなければ、材質がへたるまで(経年劣化)するまでテントは使用可能。しかし、加水分解させない、というのが不可能なんですけどね。

つまり、「何年経ったから加水分解し始める」というのはなんとも言えませんね。保管方法により1年でも加水分解する。実際のところは、製造時から加水分解は始まっているんですね。

この素材のテントを選ぶと加水分解という宿命から逃れられない、と。

加水分解したテントは復活するのか?

DANA DESIGNのザックが加水分解したときは重曹でポリウレタンコーティングをはがして、べたつきを除去しました。ザックの場合は、防水性がなくても大丈夫、または防水性のパックライナーを使えば大丈夫。

テントの場合はそうはいきませんね。ポリウレタンコーティングがない状態では、ただの布なので雨が降ったらひとたまりもありません。

検索すると、「重曹でべたつきを落として、ポロンTという薬剤を塗る」という方法をとっている方が多数いました。

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重曹に浸けると、素材がとても傷みます。加水分解して酸性化したテントを、アルカリ性である重曹で加水分解を促進させてコーティングを除去。素材に良いとは思えませんね。

重曹でポリウレタンコーティングを落として、ただのビニールになったところに撥水性シリコーン被膜を塗って、防水性が得られるのか。

わたしは、この方法に懐疑的です。一時的に撥水性が戻ったとしても継続的に効果が得られるとは思えません。ブログで「テント復活!」とおっしゃっているかたもいるのでやり方によっては元に戻るのかもしれませんね。

今のところの結論は、「自分では加水分解したテントを修復できない」、です。

つぎは、業者さんで加水分解を修復できるところ探してみます。→新潟県にある「きたじょう工房」さんがテントの加水分解をクリーニングしてます。

残念ながらPU後加工(あとかこう)は不可能ですので、特殊なシリコン溶液と劣化防止剤を混ぜてベタツキを被膜します。但し、半永久的に持続する訳ではありませんので、数年後同じような症状になってしまった場合、またお声をかけて下さい。オールド幕ユーザーさんは特にメンテナンスが大事です!参照きたじょう工房

加水分解しないテントやタープを作っているブランドはないのか?

こうなると、加水分解しない素材を使ったテントを探したほうが気持ちが楽ですね。

キャンプから帰ってきて、すぐに乾燥させたりとかできないので。仕事もあるし、疲れてますしね。

どんなブランドが加水分解しない素材でテントを製造しているのでしょうか?加水分解しないテントを作ってそうなメーカーをピックアップして調べてみます。

選定の基準は、日本のアウトドアブランドとコットン幕を使っているブランド、北欧ブランド、加水分解しないと有名なブランドです。

日本のアウトドアブランドは、高温多湿、雨量が多いという日本の気候の特性を熟知しているので対策を練っているのではないかと考えました。

コットン幕を使っているブランドに関しては、コットン幕を使っていれば加水分解しないので選びました。その分、カビが生えやすいというデメリットがあります。

アメリカのアウトドアブランドは、シリコンコーティングのテントが禁止(火災が起きやすいため)なので、ポリウレタンコーティングになってしまうので選びません。

北欧は雪に強いテントのイメージがあるので選んでみました。

[st-mybox title=”加水分解しないテントを作ってそうなメーカー” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#BDBDBD” bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=”bold”]

ヒルバーグ

アライテント

ノルディスク

エクスペド

モンベル

[/st-mybox]

加水分解しないテント探し ヒルバーグ

まずは、ヒルバーグから。「加水分解といえばMSR」、の反対に「加水分解しないといえばヒルバーグ」。ヒルバーグはスウェーデンのテントメーカーです。

フライシートの防水性も申し分ない。素材はケルロンという特殊加工を施した化学繊維で、他の多くのテントとは異なり、ポリウレタンによる防水コーティングを省いても耐水性が非常に高い。そのために少々高価にはなるが、加水分解によるコーティングの経年劣化が生じず、数十年も連続して使えるという。
参考高橋庄太郎の山MONO語り

「つぎのテントは絶対に加水分解しないテントにしよう!」と思い、狙っているのがヒルバーグです。

ヒルバーグのテントは、ポリウレタンコーティングではなく、ケルロンという素材自体に防水性をもたせた布で作られています。

さらに、フライシートに使われているケルロンという素材は、一般的なポリウレタンコーティングされたフライシートの少なくとも3倍以上の引裂強度をもっています。

初期費用は高く付きますが壊れるまで使えるのでコストパフォーマンスは抜群。

さらに換金性が高いので、いつでも高値で売りさばけます。メルカリで探してますが、数回使った幕でも2割引くらいで売れていきます。ヒルバーグはセールがないので価格が適正に維持されていますね。

加水分解しないテント探し ノルディスク

ノルディスクは、アウトドア用品を製造・販売しているデンマークのブランドです。ノルディスクのテントには、「リップストップナイロン」と「ポリコットン(T/C)」のものがあります。

リップストップナイロンのテントは、トレッキングテントとしてのラインナップ。オップランドやファクシ、レイサ、テレマークなどです。参考ノルディスク公式サイト

ポリコットン(T/C)のテントは、キャンプテントとしてのラインナップ。アスガルド、アルフェイム、ユドゥンなど。
参考ノルディスク公式サイト

ノルディスクのポリコットンテント(T/C)は加水分解しない

まず、ポリコットンのテントは加水分解しません

ノルディスクのポリコットンは、「65% ポリエステル 35% コットン」。そしてコーティングはされていません。耐水圧は、300mm〜400mm程度。コットン部分は、水分を含むと膨張します。膨張して生地の密度をあげることで防水性を発揮します。

ところで、300mm〜400mm程度の耐水圧で大丈夫なのでしょうか。

小雨が300mm、大雨が10,000mm、嵐が20,000mmの耐水圧が必要とされています。なので普通の雨天なら大丈夫ですね。ちなみにビニール傘が500mm。

素材自体の耐水圧をあげるにはコーティングが必要ですが、気密性があがってしまい不快になります。それでは、ポリコットンの通気性の良さがなくなってしまいます。400mmくらいの耐水圧がちょうどいい。

他のブランド、tent-Mark DESIGNSやタトンカのポリコットンも「65% ポリエステル 35% コットン」の割合です。

ノルディスクのリップストップナイロンテントは加水分解します

ノルディスクのリップストップナイロンを使ったテントは、シリコンコーティングされているので加水分解します。

オップランドやファクシ、レイサ、テレマークなどの緑色のフライシートのテントです。

ポリウレタンコーティングとは異なり、ナイロン素材自体にシリコンを染み込ませているので、防水性も生地の強度も高くなっています。

まとめ

基本的に、ポリウレタンコーティング、シリコンコーティングされたものは加水分解する。

そうなると、素材自体が高い防水性を持っていてコーティングしなくても荒天に耐えうるものを選ぶことになる。

コットン、キューベンファイバー、ポリコットン、ケルロン、といった素材で作られたテントを探せば、加水分解に悩まされませんね。

たぶん、加水分解を避けるならば、ヒルバーグを買うのが正解だと思います。

加水分解しないテントを探して、ヒルバーグにたどりつく

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この記事は執筆途中です。調べながらなので少しずつ書き足します